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「モンテーニュ エセー抄」
ミシェル・ド・モンテーニュ 宮下志朗編訳 みすず書房 ------------------------------------------------------------------------ ◎ところで法律が信用を維持しているのは、それが正しいからでなく、ひたすら法律であることによる。それこそ法律という権威の不思議な根拠なのであって、ほかにはなんの根拠もない。そのことが法律にも有利に働く。法律というものは、しばしば愚者によって作られる。たいていは、平等を憎み、公正を欠くような人々によって作られる。とにかく、からっぽで、無節操な人間によって作られるのだ。 ◎自分の人生にだけ耳を傾けようではないか──人間は、自分にとりわけ必要なことは、すべて、自分に向かって話すものなのだから。自分自身の判断が何度となく間違ったことを覚えている人間が、それでもけっして自分の判断に不信をいだかないというのならば、その人は馬鹿にきまっている。 「経験について」より ------------------------------------------------------------------------ |
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