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深町純さんと北のドラマ
 長沼 修 (株) 札幌ドーム社長、前北海道放送社長、プロデューサー
  
- 2016年09月 寄稿 -

深町純さんと北のドラマ

1970年代、私は深町純さんとたくさん仕事をさせていただいた。
そのころ私の勤める北海道放送 (HBC) は、地方局ではめずらしくテレビドラマを制作し全国に放送していた。日曜夜9時の東芝日曜劇場が主な枠で一時間の読み切りドラマが中心だった。
駆け出しデイレクターだった私は、やはり日曜劇場を始めて書くという後の大物作家・市川森一さんの脚本で、小樽の小さな図書館を舞台にドラマを撮った。枯葉の舞う林の中の図書館にふらりとやってきた謎の女ともてない司書の物語。小樽出身の作家・伊藤整の詩を引用し、題名も彼の詩集からとり「林で書いた詩」とした。音楽をだれにお願いしようか考えた私は、何かで聞いた深町さんの音楽が耳から離れずに思い切ってお願いをした。
映像編集が上がって深町さんに見ていただいた。彼は見終わり一言つぶやいた。「この作品のテーマは秋だね・・・・」。
作曲が出来上がり録音。スタジオに昼からこもり、深町さんはシンセサイザーに向かって弾き続けた。一人で何度も弾き幾重にも音を重ねる、当時としては先駆的な技術に驚いた。しかし時間は猛烈にかかった。朝になっても終わらない。スタジオ料が出せないとマネージャーの前さんはぼやいたが深町さんは聞く耳を持たなかった。
クライマックスの場面の音楽で問題が起きた。深町さんは自分が作詞した唄入りの曲を入れたいという。その場面には劇中の主人公の長い大切なセリフがびっしりと書き込まれている。そこに唄入りの曲が被るとセリフが聞こえなくなる、それはタブーだった。私は脚本の市川森一さんに相談した。市川さんは「いいよ、秋が感じられればいいんだよ・・・」と言ってくれた。
小樽の港を見下ろす丘の上にたたずむ、もう若くはない謎の女と、その女に魅せられてついてきた朴訥な図書館の司書。女は自分の心の秋を司書に語る。その場面に深町さんの作詞による唄入りの曲が朗々と流れるのだ。
あたりはすっかり秋、高い木立の上を枯葉が鳥の群れのように舞っている。
 

 ♪ 何もない 丘は悲しい
   きっといつか めぐり合う
   秋は美しいけれど 悲しい時
   思い出は あの空に飛び立つ
   赤い夕日に 別れを告げて
   あーー呼んでいる あーー呼んでいる
      (詩・曲・唄 深町 純)


このあと私は、立て続けに深町さんにたくさんのドラマの音楽をお願いした。
「旅ゆけば」(75年、主演鈴木ヒロミツ、堀内正巳)、「バースデイカード」(77年、水谷豊、池上季実子)、「春のささやき」(80年、根津甚八、伊藤蘭)などなど。そのいずれもが深町さんの音楽が前面に出た話題作となった。
どの作品もたった一回の放送だったがとても大きな反響があり、のちに大家となる多くの作家がこれらの作品に影響を受けたといってくれた。

今、札幌ではこれらの作品を再上映したいという動きが始まっている。
実現すれば深町さんも喜んでくれるだろう。
 

長沼 修

(株)札幌ドーム社長、前北海道放送社長、プロデューサー

2016年9月23日
 

(敬称略)
 

長沼 修(ながぬま・おさむ)様 プロフィール
 
1943年生まれ、札幌市出身。北海道大学農学部卒。1967年、北海道放送入社、以降、テレビの制作現場で100本以上のドラマやドキュメンタリー、音楽番組などの制作に、演出、プロデューサー、助監督などとして参加、多くのテレビ番組を北海道から全国に発信する。1987年には「童は見たり」が文化庁芸術祭テレビドキュメンタリー部門で最高賞の芸術作品賞を受賞、1991年には「サハリンの薔薇」がテレビドラマ部門の芸術作品賞を受賞した。そのほか東芝日曜劇場「春のささやき」「ホンカン仰天す」など多くの受賞作品を制作、演出している。2000年、北海道放送社長。2009年、同会長を経て、2010年、株式会社札幌ドーム社長に就任。

2015年6月 著作出版 
「北のドラマづくり 半世紀」長沼 修 
(出版 北海道新聞社) 

 
 

長沼様は、2015年6月17日に北海道新聞社より「北のドラマづくり 半世紀 」というタイトルの本を出版され、その著作の中に深町純との音楽制作の思い出も綴られています。

長沼 修 様が1970年代に監督・演出されたドラマ作品のうち、次の5本にて 深町 純 が音楽を担当しました。

  • テレビドラマ「春のささやき」(1980年)
      北海道放送 (HBC) 制作 1980年3月23日 放映
      (1980年日本民間放送連盟賞優秀賞受賞作品)
      脚本:市川 森一、監督・演出:長沼 修
      音楽:深町 純
      出演:根津 甚八、南田 洋子、伊藤 蘭 他
     
  • テレビドラマ「ガラスの向こう側」(1979年)
    東芝日曜劇場 1977年1月28日 放映
      北海道放送 (HBC) 制作、脚本:早坂 久子、監督・演出:長沼 修
      音楽:深町 純
      出演:藤岡 弘、日色ともゑ(日色ともえ)、横田 直貴、原 知佐子
     
  • テレビドラマ「バースディ・カード」(1977年)
      東芝日曜劇場 1977年2月13日 放映
      北海道放送 (HBC) 制作、脚本:市川 森一、監督・演出:長沼 修
      音楽:深町 純・マーサ三宅
      出演:水谷 豊、池上 季実子、花沢 徳衛、村井 洋 他
     
  • テレビドラマ「旅ゆけば」(1975年)
      東芝日曜劇場 1975年7月20日 放映
      北海道放送 (HBC) 制作、脚本:田中 陽造、監督・演出:長沼 修
      音楽:深町 純
      出演:鈴木 ヒロミツ、堀内 正巳、坂口 良子、岸田 今日子 他
     
  • テレビドラマ「林で書いた詩」(1974年)
      東芝日曜劇場 1974年11月24日 放映
      北海道放送 (HBC) 制作、脚本:市川 森一、監督・演出:長沼 修
      音楽:深町 純
      出演:桜木 健一、香山 美子、金田 竜之介、浜村 純 他
     

深町純1977年に音楽担当として携わったテレビドラマ「バースデイ・カード」「Video Market」にて視聴できます(有料)。

  • 2017年8月11日より、北海道放送局(HBC)制作1977年作品の 深町純の音楽が全編彩るドラマ「バースデイ・カード」がネットで配信開始されました。「1970年代の映画界を席巻した“ニューシネマ”」と評価も高く、これまで再放送のリクエストが非常に多かった作品ですが、これまで一度も再放送されなていなかったとの事です。
    • 東芝日曜劇場 1977年2月13日 放映
    • 北海道放送 (HBC) 制作、脚本:市川 森一、監督・演出:長沼 修
    • 音楽:深町 純・マーサ三宅
    • 出演:水谷 豊、池上 季実子、花沢 徳衛、村井 洋 他
       
  • Video Market「バースディ・カード」
      (外部リンク)
     
  • Video Market「HBCドラマ傑作選(HBC北海道放送)」
      (外部リンク)
     

 

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